なるけ・まこと/1955年北海道生まれ。中央大学商学部卒業。アスキーなどを経て86年に日本マイクロソフトに入社し、36歳で同社社長に就任。2000年に退社し、投資コンサルティング会社インスパイア設立。11年、書評サイト「HONZ」を開設。『本棚にもルールがある』『教養は「事典」で磨け』『ビジネスマンへの歌舞伎案内』など著書多数。
ボクはアマゾンでも本を買うが、書店で買うことの方が多い。理由は単純で、書店員というプロが選んだ思いがけない本との出会いを期待できるし、納得がいくまで内容を確かめてから購入を決められるからだ。
今回訪ねたのは、丸善丸の内本店。1階の店頭には新刊書や話題の書が平積みになっているが、いきなりそこで足を止めるのは、急いでいるときだけだ。今日のように時間に余裕があるときは、まずはエスカレーターで3階まで行き、そこから興味と重力に従って、フロアを下りながら新刊という名の獲物を物色する。
靴は履き心地のいいスリップオン、バッグはリュックと、帰りには荷物が重くなることを想定してのいでたちである。
さあ、まずは3階、芸術書のコーナーだ。芸術書こそ、中身が肝心。デザインや装丁だけでなく、紙や印刷もチェックする。出来上がりに手を抜いた芸術書に良書はないし、ここを頑張った本に悪書はない。早速、写真集『Tamagawa 東京ネイチャー』(つり人社)、企業が作る印刷物を集めた『構成・レイアウトで魅せる 企業案内グラフィックス』(パイインターナショナル)などが面白そうだ。