「理想の老後を過ごすには、65歳までに最低3000万円は貯めておかないとダメなの。つまり、30代のうちに1500万円は貯金していないとね」
日本経済を支える丸の内系ストイックなOLのW(ウーマン)は、真剣な表情で私を諭す。
こちらは40過ぎても貯金が7桁にも満たない。不安定な自営業とはいえ、Wの収入と大差があるわけではない。贅沢はしないけれど、時々、旅へ行き、引越しを繰り返し、日々、本を買ってカフェでお茶しながら原稿を書いているだけでも、泡のようにお金は消えて行く。
一方、Wはどこまでも合理的で堅実なリアリストだ。
ZARAの流行色のワンピにユニクロのカーデ、セリーヌのヴィンテージバッグという堅実なオシャレOLのお手本のようなコーディネート。スタバでは、無脂肪ミルクのラテに無料のキャラメルソースをトッピングするのがお決まりだ。
「豆乳はプラス50円だから、健康面も考えて無脂肪をチョイス。長時間滞在するなら、2杯頼むより、温度は熱めにしてグランデサイズにするとコスパがいいの。あ、でもここだけの話、女友だちとのお茶は2時間までって決めている。それ以上だと、話が堂々巡りになって、時間も労力もムダになるだけだもの」
わたしは、うんうんと頷きながら、「わかっちゃいるけど、なんだか味気ないような……」とぼやく。すると彼女はピシャリと言った。
「目先の感情や欲望に捕らわれているから貯まらないんじゃない? 常に目的意識をもって、リスク管理しないと。お金は最大のセーフティーネットだよ。それに……、お金こそがあなたの“現実”を決めるの」
勝間&松居のWカズヨ的な女道
『日経ウーマン』は、働いて自立している女性のためのライフスタイル誌だ。
キャッチコピーは“仕事を楽しむ、暮らしを楽しむ”。「キャリアからマネー、ヘルスケア、ファッション&ビューティまで。いずれも手を抜かず、しっかり情報収集して、賢く暮す」のがモットーだと記してある。