34歳が歌う「人生の応援歌」
柴那典(以下、柴) 前回は、浜田雅功さんの奇跡(笑)。そしてPerfumeからはじまって「人にはそのタイミングで歌うべき歌がある」というお話でした。
大谷ノブ彦(以下、大谷) もうひとつ、その流れでレイチェル・プラッテンという人の「ファイト・ソング」を紹介したい。僕が最近大好きな曲なんです。
やっぱり「人にはそのタイミングで歌うべき歌がある」という話。
柴 彼女はどういう人なんですか?
大谷 レイチェル・プラッテンって、アメリカのシンガーソングライターで、実は相当遅咲きの人なんですよ。下積み時代が10年以上と長くて。
柴 ずっと売れなかったけれど、この曲でヒットしたんですね。
大谷 そう。で、この「ファイト・ソング」って、いわば人生の応援歌なんです。この歌詞がまたいいんですよ。
一本のマッチしか持っていなくたって大爆発を起こしてみせるわ
これはわたしの戦いの歌
人生を取り戻す歌
柴 格好いいなあ。ロッキーみたいだ。
大谷 だって、レイチェル・プラッテンは年齢も34歳ですから。彼女自身が言ってしまえば不遇の人生を過ごしてきて、今こういう状況で歌ったからこそたくさんの人に刺さったと思うんです。
柴 彼女自身のリアルな歌だから広まったということですね。
大谷 これはシンガーソングライターだけじゃなくて、アイドルグループもそうなんです。アイドルだからこそ、今歌うべき歌を歌うことでブレイクする。
特に僕は℃-uteの大ファンなんですけれど、℃-uteって、今、すごいんですよ。ライブを観るとそれが一発でわかる。とにかくパフォーマンスのクオリティが高い。
柴 僕もロック・イン・ジャパン・フェスで観ました。「Danceでバコーン!」とか、ロックフェスのお客さんをめちゃくちゃ盛り上げてて格好よかった。
大谷 そう! 今の℃-uteは格好いいんです。だからフェスの現場でも戦えるし、もっとセクシーでアダルトな曲もある。とにかく完璧なダンスを見せつけるような曲がほしい。℃-uteにも応援歌みたいな曲はあるんですけれど、逆に今はいらないなあって思っちゃう。
柴 なるほど。それが℃-uteにとっての「いま歌うべき歌」なんですね。
大谷 そう。2013年の「Crazy 完全な大人」という曲が、まさにこういうアダルトでセクシーな路線になったきっかけの曲なんですね。こういう曲で押し通して、MCもなんかも少なくして、安室奈美恵みたいなストイックなステージをやってもいいと思う。
柴 ℃-uteはニューアルバムの『℃maj9』もリリースされましたね。
大谷 これも最高だった! ℃-uteは今年、たぶんさらにすごいグループになると思いますよ。
戦えない女の子たちが一歩踏み出す歌
柴 自分で曲を書いてないアイドルグループだからこそ、しかるべきタイミングで「いま歌うべき歌」をリリースすることが大事だ、ということなんですね。
大谷 そう! で、今、一番そういう必然性を感じさせるアイドルグループが乃木坂46なんです。
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