雨月メッツェンバウム次郎
雨は夜更け過ぎに
本日はクリスマス。今回の雨月メッツェンバウム次郎先生のエッセイは、いつもと趣向を変えた小説スタイルでお送りします。
今日は朝からピアノ線のような雨が降っていた。
僕はいつものように朝7時に目をさます。ベッドから降りると、古いアパートの床がみしりと音を立てる。やかんを火にかけ、お湯を沸かして熱いコーヒーを淹れる。マグカップは一昨年ロサンゼルスで買った、青いビルの立ち並ぶ陶器だ。「The City Of Angel」とプリントされている。
火傷しないようにふーふーと気をつけながら、少しずつ口に含む。口の中に広がるコーヒーの香りが、なんだか体全体を包んでいるような気になる。
昨日、夜更け過ぎのBARで聞こえた言葉。あれは一体何だったんだろう。きりりとわずかに胃が痛む。考えるのは止めにする。
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この連載について
雨月メッツェンバウム次郎
高学歴エリート集団だと思われがちな外科医の世界は、実は、毎日人を切り刻んでる特殊な世界です。現役医師が語る外科医の世界は、とっても不思議な世界。毎日、さまざまな患者さんと接し、手術をするなかで感じたことを、ありのままに語ります。not...もっと読む
著者プロフィール
雨月 メッツェンバウム次郎。アラサーの現役外科医。既婚。某国立大学医学部卒業後、外科医として働く。ほぼ毎日手術があり、年間200件近く参加する傍ら、年に1, 2回は海外学会へ、年に7回は国内の学会へ自腹で行く。 ツイッターでも呟いています。twitter @ugetsujiro noteでも書いてます。「cakes連載記事、あそこには書けないウラ話」https://note.com/drdolittle/m/m15f589680155