—— 米津さんは「ハチ」という名前でボーカロイドを用いた楽曲を発表されていた頃も、今も、楽曲に手描きのイラストやそれを用いたアニメーション映像がついた形で作品を作られています。
『YANKEE』より
米津玄師(以下、米津) そうですね。
—— こういった形で音楽と絵の両方を創作するようになった由来についても聞ければと思うんですが、もともと、美術の学校に行かれてたんですよね?
米津 イラストレーション専攻でしたね。でも、その学校で何かを学んだ感じは全然なくて。ただモラトリアムを延長するためだったと思います。
—— 絵を描きはじめたのはいつ頃のことでした?
米津 絵を描くこと自体は幼稚園のころから好きでした。昔から絵が好きで、漫画家になりたかった。それは美術の教員免許を持っている母親の血だと思うんですけど。
—— 以前、曲を作るときにはメロディーと同時に情景も浮かぶという話をされていましたよね。そういう風に、曲を作る前に視覚的なイメージがあるということなんでしょうか?
米津 そういうのもあります。そういうビジョンやシチュエーションから曲を作ることは多いですね。
—— イラストから先に作るようなこともありますか?
米津 いや、今の自分が絵を描く時は、それはないですね。例えば、アルバムのジャケットはずっと自分で描いてるんですけど、それは全部の曲を作り終わった後にやることなんです。完成した音を聴いて「この作品に似つかわしいジャケットはどういうものなんだろう」って考えながら、なんとなく手を動かしていく。そうやって描いています。
800枚のイラストを描いた
—— 米津さんはイラストを用いたアニメーションのミュージックビデオも作っていますよね。
米津 そうですね。本当に大変なんで、もう二度とやらないと思いますけど(笑)。
—— 一曲につき大体何枚くらいのイラストを描くんですか?
米津 前のアルバムの「アイネクライネ」の時は800枚です。