柴又帝釈天の裏に、メトロン星人の巣窟?!
宮田珠己(以下、宮田) 今度は東京です。誰でも知ってる柴又帝釈天。
三省堂書店 内田剛(以下、内田) ええ、みんな知ってますよね。
宮田 正面は誰でも知ってるんですけど、その裏に回ると、帝釈堂っていうのがありまして。有料なんですけど、壁にこういう彫刻があってすごいんですよ。
宮田 これは大正時代に10人の名工といわれる彫刻家が、競って10枚の板を彫った。
内田 競作してるんだ。
宮田 そう。だからみんな気合入ってるんですよ。それぞれ、法華経の場面を紹介してるそうです。
宮田 1枚1枚もすごいんですけど、ふつうこういうのって、近くまで行けないんですよ。もっと遠くから双眼鏡で眺める感じ。でも、ここは柵から手が届くくらいのところに彫刻があるんで、細かいところがよく見えるんですね。
内田 近くでじっくり見れると。
宮田 こういう火が燃えてるところとか。
内田 おお、火まで彫っちゃうんだ。
宮田 こういうひとりひとりの表情とか。
宮田 なんの場面かわからないんですけど、丁寧さというか精巧さというかが、すごいんです。
宮田 ぼくはこういうお寺の彫刻がけっこう好きで、最初は、仏像が好きで仏像を見てたんです。でもそのうち、仏像は木像よりも、磨崖仏なんかの石仏にひかれるようになった。石のきっちり作れないユーモラスさが面白いと思うようになって。
それとはまた違うけど、こういう彫刻は2次元に作っているんだけど、3次元に見せようとするから、面白いんです。正面から見ると3次元なんだけど、斜めから見るとなんか歪んでたりして。
内田 ああ、なるほどね。
宮田 メトロン星人の世界というか。
内田 角度的にね。
宮田 なんか不気味な世界が香ってくるっていうか、そういうのがあって。
宮田 これなんか、正面から見たら、薬研でなにか挽いている場面の絵なんですけど、これを横からも見られるんです。横から見るとどうなってるんだろうと思うと、こうなってる。
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