パリでテロがありました。
今回は、私の身のまわりで聞こえてきたことを綴りながら、率直な心中をスケッチします。
私も夫も無事でした
11月13日。安否確認をたくさんいただいたのですが、私は ちょうど日本に帰郷中でした。
帰るたびに成長している甥っ子を囲み、家族団らんの午後。
パリに住む日本人の友人から、用件がよくわからないLINEメッセージが入っていたことに気がつきました。
妙だなと思って返事をすると、
「パリが大変なことに。早くニュースみて」
とのメッセージ。
そのうち、色んな人から私の安否を確認するメッセージが届いていることに気がつきました。
気が動転していたのだと思います。どうやってニュースを確認したのかまったくおぼえていないけれど、「パリで襲撃」の文字が目に入ってきました。
え? また? ウソだ。
こたつで和んでいた暖かい空気の中で、私だけが急速冷凍されるように感じました。
そういえば……、フランスに残して来た旦那は?
たくさん届くメッセージの中から、数時間ほど前に旦那から「Coucou」(ハロー)というLINEメッセージだけが届いていることに気がつきました。
テロが起こったパリ時間翌日朝のメッセージでした。でも、メッセージをチェックしたときはそれすらもわかりませんでした。
いそいでLINEを返信。でも、既読にならない。ライン電話をする。でも出ない。 彼の携帯番号にかけても出ない……。
すぐそばにいる日本の家族に事情を説明をしてみるけれど、口が空回りするようで、うまく日本語が伝わらない。
「どうして電話にでないんだろう?」
そう焦ったのと同時に、走馬灯のように、彼との生活の映像が私の頭の周りをぐるぐると超高速でまわりはじめました。さらに心臓が締めつけられるような衝撃を身体の中に感じました。
それからの数分間はずいぶんと長く感じられました。 実際は2、3分後だったと思います。彼から電話の折り返しが来ました。
iPhoneのテレビ電話を通して見る彼の表情は、敢えてなるべく穏やかなリズムを崩さないようにしているのがわかりました。
彼が昨晩サッカーの試合をテレビで観ている時に会場での爆破音を聞いたこと。つい最近引っ越したけれど、以前のパリのアパート周辺ばかりが狙われたこと。無闇に混乱しないようにネットやテレビのニュースは、あまり観ないようにしているということ。翌日には予定通り家族で集まって、お母さんの得意料理を囲む会は予定通り開催するとのこと。いろいろ話をしました。
あえて言葉にせずとも、お互いなるべく普通に、いつもどおり、笑いを交えながら楽しく話そうとしていました。
そうして彼と話して行くうちに、少しずつ自分の体温が常温に戻ってくる感じがしました。
大きな叫び声が聞こえてくる街角
その後、いの一番に連絡をくれたパリ在住の日本人の友人に連絡をとりました。
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