山内宏泰
「
当たり前」はいつ生まれた?——「ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生」
古くから描かれ続けた肖像画や宗教画と比べると、まだまだ歴史の浅い風景画。一場面を彩る背景としてしか描かれなかった風景が、「見るべきもの」として取り上げられるようになるまでには、どのような出来事があったのでしょうか。渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催されている、「ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生」で、風景画の歴史をたどってみましょう。
アンドロ・バッサーノの月暦画連作 1580-85年ごろ
どれほど当たり前のような顔をして存在しているものにも、かならず「はじまり」のときというのがあるはずですよね。おじいさんやおばあさんにも赤ん坊の時代があり、古色蒼然たる構えの老舗料理店にもオープンの日はあったのです。
絵画のジャンルもまた同じ。いまのわたくしたちが、絵画と聞いて思い浮かべるのは、肖像画に歴史画、宗教画や風景画、または抽象画といったところでしょうか。たいていの絵はこれらのカテゴリーに収まりますけれど、当然ながらそれぞれに発生の時期というものがあります。肖像画や宗教画がずいぶん古くから存在するのに比して、じつは風景画って、かなり歴史が浅いのです。
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この連載について
山内宏泰
世に“アート・コンシェルジュ”を名乗る人物がいることを、ご存じでしょうか。アートのことはよく知らないけれどアートをもっと楽しんでみたい、という人のために、わかりやすい解説でアートの世界へ誘ってくれる、アート鑑賞のプロフェッショナルです...もっと読む
著者プロフィール
ライター。美術、写真、文芸その他について執筆。著書に『写真のフクシュウ 荒木経惟の言葉』(パイインターナショナル)『写真のフクシュウ 森山大道の言葉』(パイインターナショナル)『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』(星海社新書)『写真のプロフェッショナル』(パイ インターナショナル)『G12 トーキョートップギャラリー』(東京地図出版)『彼女たち』(ぺりかん社)など。東京・代官山で毎月第一金曜日、写真について語るイベント「写真を読む夜」を開催中。東京・原宿のスペースvacantを中心に、日本写真を捉え直す「provoke project」開催中。
公式サイト:http://yamauchihiroyasu.jp/