山内宏泰
静かに解きほぐす——「そこにある、時間 -ドイツ銀行コレクションの現代写真」展
秋めいてきた季節にぴったりの、静かで深みある「そこにある、時間 -ドイツ銀行コレクションの現代写真」が、原美術館で始まっています。30年来、現代美術に特化してコレクションを形成しているドイツ銀行。その中から写真作品を選りすぐっての展示です。マッシモ・ヴィターリに、やなぎみわ、スーザン・ダージェスにオットマー・ヘールなど幅広い作風の作品が集まって、そっと私たちの凝り固まったものの見方を解してくれる展示になっています。
品川駅から、美しい並木を眺めながらしばしそぞろ歩いて、周りがすっかり住宅街になったころに、静かなたたずまいをみせて原美術館が立ち現れます。こちらでは現在、秋めいてきた季節にぴったりの、静かで深みある展覧会がはじまっておりますよ。「そこにある、時間 -ドイツ銀行コレクションの現代写真」です。
わたくしたちが生きている現代は、どんな社会形態になっているかと考えてみれば、グローバルな資本主義経済をベースにものごとが進んでいるのはたしかなところですね。そこでは国際的な企業が大きな影響力を有しているのもまた、まぎれもない事実。ならばいまの企業組織は本来、芸術の最大のパトロンになる気概がなければいけません。経済面で支配的な存在が、いつの時代だって芸術活動をすすんで支えてきたのですから。
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この連載について
山内宏泰
世に“アート・コンシェルジュ”を名乗る人物がいることを、ご存じでしょうか。アートのことはよく知らないけれどアートをもっと楽しんでみたい、という人のために、わかりやすい解説でアートの世界へ誘ってくれる、アート鑑賞のプロフェッショナルです...もっと読む
著者プロフィール
ライター。美術、写真、文芸その他について執筆。著書に『写真のフクシュウ 荒木経惟の言葉』(パイインターナショナル)『写真のフクシュウ 森山大道の言葉』(パイインターナショナル)『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』(星海社新書)『写真のプロフェッショナル』(パイ インターナショナル)『G12 トーキョートップギャラリー』(東京地図出版)『彼女たち』(ぺりかん社)など。東京・代官山で毎月第一金曜日、写真について語るイベント「写真を読む夜」を開催中。東京・原宿のスペースvacantを中心に、日本写真を捉え直す「provoke project」開催中。
公式サイト:http://yamauchihiroyasu.jp/