更年期の先に見えてきた「老い」
深澤 更年期を体験した結果、私は自分の心身の機能が低下していくことについてそんなに悪いことばかりではないなとに受け止められるようになってきたんです。難しい問題ではありますが、私の場合はその先の「老い」も悪くないのかなと思い始めてきました。
岡田 「私の場合は」とはどういう意味でしょう?
深澤 以前は、老いて介護が必要な状態になったり、認知症になるのがすごく怖かったんですよ。これは私がもともと「肉体よりも精神の方が上だ」と思っていたからなんだけど。
岡田 我々は「動物ではなく人間だと思っている派」ですからね。
深澤 そう。「精神が肉体を支配し、自己を律するのが正しい形だ」っていう妄信を持っている。でも自分が更年期を経験したり、介護が必要な人や認知症の人をたくさん取材する中で、「そうでもないのかもしれない」と思うようになってきたんですよ。
介護はもちろん周りはものすごく大変だし、本人だってつらい思いをすることも多いと思う。だからといって「老い」や認知症を否定するのも違うのかなと思うようになってきたんです。