岡田育 /深澤真紀
できないことが増えてもいい——vol.9
女性が更年期を迎えるとその先に見えてくるのが「老い」。更年期を経験した結果、更年期同様歓迎されないものとされている老いも、自己の解放の入り口になり得るのではないかと思うようになったという深澤真紀さん。更年期や老いと向き合うことで、どうして自由になれるのでしょうか?
更年期の先に見えてきた「老い」
深澤 更年期を体験した結果、私は自分の心身の機能が低下していくことについてそんなに悪いことばかりではないなとに受け止められるようになってきたんです。難しい問題ではありますが、私の場合はその先の「老い」も悪くないのかなと思い始めてきました。
岡田 「私の場合は」とはどういう意味でしょう?
深澤 以前は、老いて介護が必要な状態になったり、認知症になるのがすごく怖かったんですよ。これは私がもともと「肉体よりも精神の方が上だ」と思っていたからなんだけど。
岡田 我々は「動物ではなく人間だと思っている派」ですからね。
深澤 そう。「精神が肉体を支配し、自己を律するのが正しい形だ」っていう妄信を持っている。でも自分が更年期を経験したり、介護が必要な人や認知症の人をたくさん取材する中で、「そうでもないのかもしれない」と思うようになってきたんですよ。
介護はもちろん周りはものすごく大変だし、本人だってつらい思いをすることも多いと思う。だからといって「老い」や認知症を否定するのも違うのかなと思うようになってきたんです。
岡田 うーん、なるほど……?
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この連載について
岡田育 /深澤真紀
「草食男子」「肉食女子」という言葉を生み出したコラムニスト・深澤真紀さんと、cakesの「ハジの多い腐女子会」や「ハジの多い人生」でもおなじみ、編集者・文筆家の岡田育さん。共通点が多いのに、じっくり話したことがないというおふたりが、「...もっと読む
著者プロフィール
コラムニスト、企画会社タクト・プランニング代表取締役社長、淑徳大学人文学部客員教授。1967年、東京生まれ。早稲田大学卒業後、いくつかの会社で編集者をつとめ、会社を設立。「草食男子」を名付けて2009年流行語大賞トップテンを受賞。主な著書に、『草食男子世代――平成男子図鑑』(光文社知恵の森文庫)、『女はオキテでできている――平成女図鑑』、『結婚問題』(共に春秋社)、『「そこそこ ほどほど」の生き方』、『考えすぎない生き方』(共に中経の文庫)、『働くオンナの処世術――輝かない、がんばらない、話を聞かない』(日経WOMAN選書)、『ニュースの裏を読む技術――「もっともらしいこと」ほど疑いなさい 』(PHPビジネス新書)、『ダメをみがく』(津村記久子との対談集、紀伊国屋書店)、『女オンチ。 女なのに女の掟がわからない』 (祥伝社黄金文庫)などがある。
Twitter:@fukasawamaki