渡辺由佳里
不倫出会い系サイト『アシュレイ・マディソン』のハッキングで露呈したこと
「人生一度。不倫をしよう。」をスローガンに掲げる不倫専門出会い系サイト『アシュレイ・マディソン』から個人情報が流出する事件が発生し、利用者が集中している北米だけでなく、日本でも話題になっています。この事件をきっかけに利用者データの調査がされたところ、550万人の女性会員はほとんどがボット(偽物)だったのだそうで……。それでも男性が利用する理由は何なのでしょうか。また、浮気に走る既婚女性の特徴とは?
既婚者向けの出会い系サイト!?
国際結婚をテーマにしたシリーズの途中だが、今回は、日本でも話題になっている『アシュレイ・マディソン』事件についてちょっと触れようと思う。
『Ashley Madison(アシュレイ・マディソン)』は「Life is short. Have an affair(人生は短い。不倫しようぜ)」というふざけたスローガンを持つ既婚者向けの出会い系サイト(ソーシャルメディア)である。2001年に開設して以来、ヨーロッパやアジアでもサービスを展開しているが、本社はカナダで会員の大部分は北米に集中している。

「アシュレイ・マディソン」日本版トップページより
このサイトが一般人の間にも知られるようになったのは、今年8月の個人情報流出事件だった。この不倫サイトに反対する『The Impact Team』というハッカー集団が利用者の名前、Eメールアドレス、住所、といった情報を盗み、「Tor」という匿名でアクセス利用できるサイトに公開したのである。
じつをいうと、ハッキング事件が起きるまで、私は『アシュレイ・マディソン』について耳にしたことがなかった。アメリカでは不倫がバレて離婚になったら大変なことになるので、利用者が静かにしていたからかもしれない。
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この連載について
渡辺由佳里
「アメリカンドリーム」という言葉、最近聞かなくなったと感じる人も多いのではないでしょうか。本連載では、アメリカ在住で幅広い分野で活動されている渡辺由佳里さんが、そんなアメリカンドリームが現在どんなかたちで実現しているのか、を始めとした...もっと読む
著者プロフィール
エッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家。助産師、日本語学校のコーディネーター、外資系企業のプロダクトマネージャーなどを経て、1995年よりアメリカ在住。
ニューズウィーク日本版に「ベストセラーからアメリカを読む」、ほかにFINDERSなどでアメリカの文化や政治経済に関するエッセイを長期にわたり連載している。また自身でブログ「洋書ファンクラブ」を主幹。年間200冊以上読破する洋書の中からこれはというものを読者に向けて発信し、多くの出版関係者が選書の参考にするほど高い評価を得ている。
2001年に小説『ノーティアーズ』(新潮社)で小説新潮長篇新人賞受賞。著書に『ベストセラーで読み解く現代アメリカ』(亜紀書房)、『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社)などがある。翻訳には、レベッカ・ソルニット『それを、真の名で呼ぶならば』(岩波書店)、糸井重里氏監修の『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社、日経ビジネス人文庫)、マリア・V スナイダー『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)、がある。