窮地に追い込まれたCD小売店
卸改革やイベント集客に注力
音楽DVDの流行が、小売店を苦しめている。CDは再販売価格維持制度という取り決めにより、値引き販売が難しく、消耗戦を防いできた。ところが、音楽DVDは再販制度の対象からはずれ、アマゾンなどのインターネット通販との、値引き合戦が始まったのだ。「最近では、音楽DVDの売り上げがCDを上回る月があるが、ネットの価格に勝てない零細小売店が次々と閉店に追い込まれている」(大手CD卸関係者)という。
そんな窮状にレコード会社が動いた。従来の卸形態にメスを入れ、新譜ではないCDの卸価格を下げ始めた。回転率の悪い旧譜もそろえて店頭故の魅力を出してもらい、音楽ファンの来店を促す狙いだ。
また、店舗「WonderGoo」を運営し、大手の新星堂を買収するなど勢いに乗るワンダーコーポレーションや、老舗のタワーレコードは売り場でのコンサートなどイベントによる集客に力を入れ始めている。
業界一丸となって、CD市場の瓦解を防ごうとしているのだ。
償還率100%超える音楽ファンド
背景には大手が忘れかけた情熱が
大手レコード会社に頼らない楽曲の販売ルートが徐々に確立されつつある。しかし、アルバム1枚当たり数百万~数千万円かかるといわれる制作費は、多くの音楽家にとって工面するのは難しい。
そんな音楽家の悩みを解決してくれそうなのが、ミュージックセキュリティーズだ。2000年創業の同社は財務局に登録するれっきとした金融会社で、これまでに60の音楽ファンドを立ち上げてきた。