NewsPicksを支える3つのブランド広告
加藤貞顕(以下、加藤) NewsPicksの収益源をうかがってもいいですか?
佐々木紀彦(以下、佐々木) 今はブランド広告の広告料がほとんどです。ブランド広告には3つの種類がありますので、その内訳を説明しましょう。
加藤 はい、お願いします。
佐々木 まず、ブランドストーリー。これは一種の記事広告です。たとえば、「世界を変えた15の『デジタル・ディスラプション』」という企画がありますが、これは「supporeted by Oracle」と書いてあるとおり、Oracleのネイティブ広告です。会社の宣伝をするというより、Oracleの場合は、「デジタル・ディスラプション=Oracle」というブランドイメージを作りたいと考えているので、過去にデジタル・ディスラプションでどういうことが起きたかということをインフォグラフィックとテキストで表現しています。
加藤 なるほど。
佐々木 2番目に、ブランドアカウントという機能があります。 企業は今、広告をつくり、広告記事をつくり、オウンドメディアの記事をつくり、とバラバラになっているのですが、ブランドアカウントを使えば、それを統合させることができるんです。
たとえば、Oracleがサポートしている記事を読みたい人は、Oracleのブランドアカウントをフォローします。今は2800名のOracleのブランドアカウントをフォローしていますね。Oracleはオウンドメディアで自製した記事もこのブランドアカウントに流すことができます。そうすると、Oracleのファンができていくんです。
加藤 2800名ってすごい数字ですね。ブランドアカウントは、チャンネル開設料という形で広告料をもらうんですか?
佐々木 そうです。ブランドアカウントとブランドストーリー(ネイティブアド)の組み合わせが多いですね。これが今、我々の一番売れている商品になります。
加藤 こういった企業によるブランドアカウントは、たくさんあるのですか?
佐々木 はい。たとえば、最近やったのが「若手イノベーターたちの地方創生」という企画。これはビズリーチが地方でのリーチを高めたいということで作りました。
加藤 本当だ。いろいろあるのですね。
佐々木 今までの広告は、だいたい一発出して終わりという感じでしたが、こうしてブランドアカウントを作ることで、どんどんファンが積み重なっていきます。企業側としても継続して我々と付き合うメリットが大きくなるのです。これは一種のストックモデルですね。
加藤 企業からは継続的に広告料金をもらっているんですね。
佐々木 はい。三番目のブランド広告がブランドカテゴリーと呼ばれるスポンサードシップ枠です。たとえば、NewsPicksには「イノベーション」というコーナーがありますが、コーナー全体をIBMがスポンサードしています。このコーナーではIBMのオウンドメディアの記事もNewsPicksでキュレーションされているので、その記事のPVも上がっていきます。
加藤 堀江さんがコメントしてくれたりするんですね。それはすごいメリットだ。
佐々木 ブランドカテゴリーは、広告料が毎月いくらと決まっているので、我々としても安定収入になるんですよ。
有料課金とリクルーティング広告
佐々木 ブランド広告が今一番の稼ぎ頭で、二つ目の柱が有料課金です。これが月1500円ですね。
加藤 ネットメディアとしては、けっこういい値段ですよね。ちなみに人数は内緒ですか?
佐々木 そうですね(笑)。
加藤 今、記事のどれくらいが有料なんですか?
佐々木 半分以上ですね。検索も無料ユーザーは三回までしか使えないんですよ。
加藤 なるほどそういう仕組みか!
佐々木 その二つのメリットで有料課金も最近けっこう増えてきています。あと、今後増える予定なのがイベント優待です。イベントはすでに数回行っていて、ほぼすべて満席になっています。イベントの集客はメルマガが役に立っていますね。