スピード感とは「文字数あたりの情報量」
多くの文章教室では「文章で大事なのはスピード感」「一文は短く」「冗長な表現はNG」といった指導がなされています。確かにその通りなのですが、この連載ではもう少し突っ込んだ、現場レベルの話をしたいと思います。
まず前提として、作文の苦手な人ほど、冗長でダラダラした文章を書きがちです。したがって初心者に対しては、スピード感を出せと言うのが当然のアドバイス。しかしその先にある真髄は、「適切なスピード感にコントロールしよう」というメッセージなのです。
ところで文章における「スピード感」とは何でしょう?
クルマにおけるスピード感とは、走っている速度からもたらされる体感のことですから、乗っているクルマが同じなら時速=距離÷時間に比例します。
ではよく耳にする「文章のスピード感」とは? 同じことを言うのに1,000文字かかっている文章と500文字かかっている文章では、どちらがスピード感があると思いますか? 当然後者です。すなわち、文章におけるスピード感とは情報量÷文字数で割り出すことができるのです。
スピードの出し方とコントロールを覚える
スピードコントロールのサンプルとして、まずは水泳を思い浮かべてみてください。初心者のうちはモタモタとしか泳げませんから、速く泳げるようトレーニングします。しかしトップスピードが出せるようになったら、今度は距離に合わせたスピードに制御して、適切に泳ぎきるのがセオリーです。