「流れるプール」は必要なのか?
岡田育(以下、岡田) ところで、私、周囲から思われているよりも、ずっと男尊女卑的な思考の人間だと思うんですよ。
深澤真紀(以下、深澤) え、それってどういう意味で?
岡田 さきほど深澤さんがおっしゃった「自分のマチズモを抑えるためにフェミニストを名乗る」からの連想です。これは私が今まで「人生カウンターカルチャー」っていう姿勢で生きてきたこととも関係があるんですけど……。
深澤 人生カウンターカルチャー!(笑) 岡田さんらしい!
岡田 自分が普段、「何故我々は女性であるというだけで何かを強要されたり禁止されたりするのか、おかしい!」と吠えていられるのは何故かと、改めて考えてみると、世の中がまだまだ男尊女卑的な思想の元に回っているから、そして、私がそれと一緒に回っているから、なんですよね。差別や偏見、リベラルに対する保守、乗り越えていくべき過去、そうしたものが「流れるプール」のように存在していないと、私の「逆らう」行為は発生しないんですよね。
深澤 流れるプール、なるほど。
岡田 「流れに棹さす」ということわざがあります。よく「棹をさして流れに逆らう」という誤った意味で使われるんですが、本当は「棹をさして勢いに乗る」という意味。いつもこのことわざを思い出すんですよ。私、流れに逆らってるように見えて、誰より勢いに乗ってるんじゃないかと。誰より流れをエンジョイして、この流れが止まると何にも逆らえなくなって困るな、とさえ思ってるんじゃないかと。