「セーラーチーム」はみんな個性が光ってる!
牧村朝子(以下、牧村) 日仏の人気投票の結果を見て思うのは、「武内直子先生って、やっぱすごい!」っていうこと。他のアニメだと、「コイツいらないよね」っていうキャラができがちじゃないですか。戦隊ものでも、レッドはリーダーシップで、お調子者のイエロー、紅一点のピンク、クールなブルー……なのにグリーンだけ“空気”みたいな。
稲田豊史(以下、稲田) 『セーラームーン』ではそうなってないんですよね。名実ともに、誰が欠けてもダメ。僕は『ドラえもん』がすごく好きなんですけど、大長編でスネ夫が欠けても冒険は成立しますよね。ラジコンが得意なやつなんていなくても、危機はぜんぜん乗りきれる(笑)。話によっては、しずかちゃんさえいなくてもOKじゃないですか。風呂入って、応援してるだけだから(笑)。だけど、『セーラームーン』の5人は誰が欠けても危機を乗りきれない。武内先生がキャラクター1人ひとりの役割と魅力をきちんと考えて作っているからですよね。別に、藤子・F・不二雄先生が考えてないということではありませんが(笑)。
牧村 稲田さんはどのセーラー戦士がお好きですか?
稲田 ヴィーナス派なんですけど、今回の調査で結構人気があったのは意外でした。彼女は5人の中で一番“リア充”というか、スポーツもできて、おっちょこちょいではあるけど、快活で、あんまり悩まない。うさぎちゃんを除くと「リーダー」みたいな感じのポジションも確保されてるから、そういうのに魅かれますね。なんだろう、裏リーダーというか。
牧村 『コードネームはセーラーV』(※)の主役ですもんね。
※『セーラームーン』の原作者・武内直子がセーラーヴィーナス=愛野美奈子を主人公に描いていた、『セーラームーン』の母体的作品。
稲田 ヴィーナスっておもしろいんですよ。実はうさぎちゃん以上に天然のバカですから。
牧村 ぶっちゃけ言うと、初期のセーラームーンはただのバカじゃないですか。バカな自分を隠さないで「バカでーす」って言ってるでしょ? 戦いを経て成長するまでは。でもヴィーナスはちょっとスターで「カッコイイ私」って言ってて、バカなことするでしょ。バカがバカをやってもおもしろくないけど、気取ってる人がバカをやるとおもしろい。
稲田 ヴィーナスはタレント志望ですからね。そういうパワフルな欲望がステキだなぁと。キラキラしてて。うさぎちゃんは、舞台で積極的に前に出ようとはしないんですよね。
牧村 何にも考えてないですよ! 遅刻するー! って言って学校行ってるだけ。
稲田 ヴィーナスはイギリスで失恋してたりとか、人生経験がいろいろありますからね。